シャブリ (Chablis)
中世の時代から現在でも、「美酒」として評価が高く、不滅の名声を誇る!!
シャブリの気候、格付け
シャブリは、中世の時代から現在でも「美酒」として評判が高く、まさに不滅の名声を誇る銘醸地です。
シャブリのワインは、独自のテロワールから生まれる独特なワインで、ブリオッシュやキノコの香り、口中に満ちるコクがあり、キリッとした味わい、シャープな酸と繊細さ、美しいミネラルが特徴です。
シャブリは、人気の高さゆえ、シャンパーニュ同様、世界でもっとも模倣されているワインでもあります。
シャブリは、パリ (Paris) から 180 km、ディジョン (Dijon) から 160 km と、両都市の中間地点に位置する人口 2,600 人の小村です。
村はすり鉢状のような窪地にあり、周囲は360度ぐるりとぶどう畑の丘に囲まれています。
ブルゴーニュ最北端の産地であるシャブリは、ブルゴーニュの中で最も寒冷な地域にあります。
冷涼な気候を反映し、ワインはシャープな酸と繊細さをそなえたものになります。
夏は暑く、ぶどうの成熟に向いていますが、4 ~ 5 月の春霜は珍しいことではありません。
これを防ぐため、石油ストーブや冷たい空気と暖かい空気を混ぜ合わせる巨大な扇風機、スプリンクラーなどが活用されています。
シャブリのぶどう畑は、4 階層に分かれ、優れた区画から順に、 7 区画の Grand Cru (特級畑)、次いで、18 区画の 1er Cru (一級畑) 、「シャブリ」 (Chablis) 、「プティ・シャブリ」 (Petit Chablis) に格付けが分かれています。
シャブリの土壌は、「キンメリジアン」と呼ばれ、ジュラ紀後期の白亜質土壌であり、1 億 5 千万年前まで、海の底にありました。
シャブリの「キンメリジアン」土壌は、フランスの産地でも極めて稀な地質であり、「エグゾジラ・ヴィルギュラ」と呼ばれる小さな牡蠣など、貝殻の化石が沢山混入し、ミネラル分が大量に含まれています。
シャブリのワインは、土壌由来の独特な美しいミネラルに満ちたものとなり、シャープでキリッとした上質な白ワインが産出されます。
シャブリは、シャルドネ種による白ワインの生産比率が 100% の産地です。
格付けが「シャブリ」や「プティ・シャブリ」のワインは、シャープな酸味、ミネラルが際立つ繊細なワインです。
一方、上級格付けのワインは、香り・ストラクチャー・複雑さ・ボディの厚みが増します。
「シャブリ Grand Cru (特級畑)」は、火打ち石のようなミネラル、酸と厚みのあるボディとのバランスが取れ、長期熟成に向く傑出した逸品です。
「シャブリ1er Cru (一級畑)」も、しっかりしたストラクチャーを備え、堅固なミネラルと花のようなアロマを備え、緻密でフィネスがあり、長期熟成に耐え得る上質なワインです。
シャブリの銘醸区画
「レ・クロ」 (Les Clos)
「『レ・クロ』の区画からは、独自のタイプが生まれるが、それはミネラルを感じさせながらも濃密でたっぷりとし、また、シナモンのようなスパイスと柑橘系の果実や蜂蜜のアロマが特徴的なワインである。常に香りと味わいの点で大変複雑である。」
「ヴァルミュール」 (Valmur)
「『ヴァルミュール』のワインは、柔らかくとてもアロマティークで、優れたテクスチャーのあるはつらつとした味わいの辛口ワインである。」
「ヴォーデジール」 (Vaudesir)
「ワインは、とても完成度が高く、調和が取れ、それで豊かさもあり、しばしばシャブリのなかで最も完璧なもののひとつと考えられている。」
「グルヌイユ」 (Grenouilles)
「ワインは複雑で粘性があり、恐らくシャブリの Grand Cru (特級畑) の中で、もっとも力強いワインと言えるだろう。花の香りがミネラル分によくマッチした大変優雅なワインである。」
「レ・プルーズ」 (Les Preuses)
「このワインを特徴付けているフィネスや繊細さ、ミネラル分は、表土部分を反映しており、口中で感じるシャープさは、貝の堆積層に由来する。最後に粘土からくる豊かさは、母岩から与えられるある種の新鮮さと結びついてワインに熟成とともにより大きなスケール感をもたらす。」
「レ・ブグロ」 (Les Bougros)
「『レ・ブグロ』のワインは、芳醇でコクがあり、ミネラル分の強さが特徴である。とてもよく熟成する。」
「ブランショ」 (Blanchot)
「良質なぶどう果を育てる石灰岩の褐色土壌は、ミネラル分を感じさせ、しばしば硬い味わいだが、比較的早く愉しめるワインを生み出している。天候に恵まれた年の『ブランショ』は、Grand Cru (特級畑) でも最も複雑なタイプとなる。」
また、シャブリ Grand Cru (特級畑) にある特に有名な単独所有畑 (Monopole) の区画として「ラ・ムートンヌ」 (La Moutonne) が挙げられます。
「ラ・ムートンヌ」 (La Moutonne)
ロン・デパキ (Domaine Long-Depaquit) の単独所有畑 (Monopole)
「かつて『シトー派修道会』 (Cistercians) の『ポンティニー修道院』 (Abbaye de Pontigny) が所有していた歴史的な畑。桃などの果実に、柑橘類のような花の香りが混じり合う香り、大理石のようなミネラル感を持つフルボディのワイン。」
また、シャブリ 1er Cru (一級畑) のうち、特に評価の高い区画として「フルショーム」 (Fourchaume)、「モン・ド・ミリュー」 (Mont de Milieu)、「ヴァイヨン」 (Vaillons) が挙げられます。
「フルショーム」 (Fourchaume)
「シャブリの 1er Cru (一級畑) でもトップ・クラスの品質を誇る。ワインは、通常、豊かで調和が取れており、ミネラル分は心地よく、洗練されふくよかな味わい。」
「モン・ド・ミリュー」 (Mont de Milieu)
「ミネラル分のある複雑な味わいの高い酒質のもので、締まっていて熟成に時間が掛かる。」
「ヴァイヨン」 (Vaillons)
「上質、エレガント、繊細さを持ち味とし、それらがすぐに発揮されるワインである。」
シャブリは、和食と抜群な相性、特に牡蠣など海産物との相性が良い!!
シャブリの歴史、和食との相性
「ポンティニー修道院」が長く所有していた歴史的なぶどう畑は、シャブリ Grand Cru (特級畑) にあるロン・デパキ (Domaine Long-Depaquit) の単独所有畑 (Monopole)、「ラ・ムートンヌ」 (La Moutonne) として現在に伝わっています。
シャブリのワインは、中世の頃から既に「美酒」として名高く、イギリス、ベルギー、オランダなどに輸出されていました。
第二次世界大戦で、シャブリの町は爆撃を受けますが、1949 年からワイン生産を再開、1957 年の大霜害後にぶどう樹を守るための技術を導入、1970 年に大豊作となります。
白ワインの銘醸地としての世界的な人気を背景に、1955 年に 550 ha だったシャブリの畑は、1981 年に 1,600 ha、1990 年には 3,020 ha、2007 年には 4,845 ha と拡大しています。
シャブリは、ミネラルが豊富でシャープな酸と繊細な味わいのワインであり、寿司・刺身、天ぷらなど和食との相性が抜群です。
特に牡蠣と相性が良く、他にも、ムール貝のワイン蒸し、アスパラガス等との相性が良いと言われます。
傑出した生産者一覧
・ヴァンサン・ドーヴィサ (Domaine Vincent Dauvissat)
「クラシックで長命な古典的スタイルのシャブリを生み出す生産者として、シャブリのあるべき典型を示すブルゴーニュを代表する白ワイン生産者のひとり。」
・ラヴノー (Domaine Raveneau)
「長熟タイプのシャブリを造らせたら右にでるもののいないドメーヌといえば、フランソワ・ラヴノーだろう。10 年以上の熟成に耐え、それどころか、熟成によって硬質なミネラルが和らぎ、実に複雑な風味へと変貌する。」
・ラ・シャブリジェンヌ (La Chablisienne)
「『世界最高の生産協同組合』と言われ、ミネラル感、即ち、テロワールの表現を大切にすることを信条とする生産者。フラグシップのシャブリ Grand Cru (特級畑) 『シャトー・グルヌイユ』は、シャブリの真髄と言える完璧な調和を持つワインであり、純粋なエレガンスとフィネスに溢れています。」