ピュリニー・モンラッシェ (Puligny-Montrachet)

白ワインの頂点に君臨する産地
数あるブルゴーニュのアペラシオンの中でも、白ワインの産地として頂点に君臨する憧れのアペラシオンです。
ピュリニー・モンラッシェは、ブルゴーニュの中心地、ボーヌ市から南西に 6.5? ほど下った人口 450 人の小さな村です。
ピュリニー・モンラッシェのぶどう畑は、村の西側にある「ブラニィの丘」を起点とする東向きの緩やかな斜面に広がっています。
ムルソー側に17区画の 1er Cru (一級畑) が集中し、シャサーニュ・モンラッシェ側に世界的に有名な白ワインの Grand Cru (特級畑) の4区画があります。
村名格付けのワインを生む畑は、1er Cru (一級畑) や Grand Cru (特級畑) の区画よりも低い土地に広がりっています。
ピュリニー・モンラッシェは、白ワインの生産比率が99%で、赤ワインの生産はごくわずかです。
ピュリニー・モンラッシェの白ワインは、熟成とともに色調の濃さを増す輝く金色の外観を備え、トロピカルフルーツ、ヘーゼルナッツ、バターや蜂蜜を想わせる香りを伴い、優雅さと凝縮感の調和、長く尾を引く余韻、しっかりしたミネラルなど、白ワインとして素晴らしい要素を備えています。

傑出した特級畑、一級畑
ピュリニー・モンラッシェは、「モンラッシェ」「バタール・モンラッシェ」「シュヴァリエ・モンラッシェ」「ビアンヴィーニュ・バタール・モンラッシェ」という世界的な名声を誇る4区画のGrand Cru (特級畑)、傑出した17区画の1er Cru (1級畑) を擁し、白ワインの産地として世界の頂点に君臨しています。
とりわけ、「モンラッシェ」は、「世界最高峰の白ワイン」「白ワインのプリンス」「白ワインの王」と称賛される世界最高峰の白ワインです。
また、ピュリニー・モンラッシェの 1er Cru (一級畑) で評価の高いクリマとして、「ル・カイユレ」「レ・ピュセル」「レ・フォラティエール」「シャン・ガン」「レ・ぺリエール」「クラヴォワイヨン」「シャン・カネ」「レ・コンベット」「クロ・ド・ラ・ガレンヌ」「ラ・ガレンヌ」「アモー・ド・ブラニー」「レ・シャリュモー」などの区画が挙げられます。
これら 1er Cru (一級畑) の中で、最上区画は、「ル・カイユレ」、「レ・ピュセル」と言われ、著名なワイン評論家、ヒュー・ジョンソン氏は、次のように評価しています。
「ル・カイユレ」
「Grand Cru (特級畑) モンラッシェとは壁を隔てただけで、向きも同じである。そしてル・カイユレの高い場所にある区画は、すでに再格付けされて、Grand Cru (特級畑) シュヴァリエ・モンラッシェになっている。それゆえ、ここが最高の 1er Cru (一級畑) と考えてもかまわないだろう。」
「レ・ピュセル」
「ル・カイユレの下手にあり、Grand Cru (特級畑) のバタール・モンラッシェとヴィアンヴィーニュ・バタール・モンラッシェに接している。ワインは、花のような強い香りを放ち、ピュリニー・モンラッシェで最高のワインだという人もいる。」

極上ワインを生む土壌、歴史
ピュリニー・モンラッシェは、ラテン語で「水辺の家」を意味する Puliniacus、「山」を意味する Mont、「禿」を意味する Rachet、つまり、「水辺の家と禿山」という言葉に由来します。
実際、ピュリニー・モンラッシェは、地下水面が高く、「池が必要なら穴を掘れ」と言われ、地下深くにカーヴを建設できず、空調設備が整っていく時代まで、長らくドメーヌ元詰めが一般化しませんでした。
また、ぶどう以外何も生育しない石灰岩の露出した土地であったことから、「禿山」という名前がつきました。
ピュリニー・モンラッシェの名前は、1094年にぶどう畑がクリュニー派修道院に寄進されたという文献に遡ることができます。
また、1685年の記録によると、ピノ・ノワールによる赤ワインが主力の産地でしたが、19世紀になると、白ワインの評価が確立、斜面上部の白ワインは、赤ワインの3倍の価格で取引されたという記録があります。
19世紀に、「モンテ・クリスト伯(巌窟王)」「三銃士」「ダルタニャン物語」などを著したアレクサンドル・デュマが、Grand Cru (特級畑) 「モンラッシェ」のワインを「跪き、脱帽して飲むべし」と称賛します。
アレクサンドル・デュマによる評価などがきっかけとなり、ピュリニー・モンラッシェの人気と評価が高まっていきました。
そして、ピュリニー・モンラッシェの名声は今でも衰えることを知りません。
例えば、ピュリニー・モンラッシェに本拠を置く、「ルフレーヴ」は、イギリスのデカンター誌などで、世界最高峰の白ワイン生産者と評価されています。

卓越した生産者一覧
著名なワイン評論家ヒュー・ジョンソン氏は、素晴らしい造り手として、以下の生産者を紹介しています。
・ルフレーヴ (Leflaive)
「ドメーヌ・ルフレーヴは、ブルゴーニュ白の象徴である。ドメーヌは、いまそれ自身が基準になりつつあるので、その極上ワインを推薦するためには、1編の小論文が必要になる。」
・シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ (Chateau de Puligny-Montrachet)
「エティエンヌ・ド・モンティーユがこのドメーヌにやってきて、大きな変化が起こった。このドメーヌには、モンラッシェ、バタール・モンラッシェ、ムルソー・ペリエールなどの最高峰のぶどう畑が名を連ね、現在、ワインは、より新鮮に、濃密に、より躍動感あるものに変わりつつある。」
・ジョマン (Jomain)
「凝縮され、パンチの利いた、強い印象のワインだが、常に上品というわけではない。しかしそのワインは、清らかで、味わい深く、バランスが良い。しかしもっと重要なことは、ここのピュリニー・モンラッシェ 1er Cru (一級畑) が、まさにその名にふさわしい味わいがあるということだ。」
・ポール・ペルノ・エ・セ・フィス (Paul Pernot et Ses Fils)
「ポールと2人の息子のドメーヌは、ピュリニー・モンラッシェでは、ドメーヌ・ルフレーヴに次ぐ重要な生産者と言えるだろう。そのワインは、常にバランスが良く、純粋さがきわ立つ。」
