オーセイ・デュレス (Auxey-Duresses)
優れたワインを生む隠れた銘醸地
オーセイ・デュレスは、白ワインで有名なムルソー村から西の高い丘に入ったところに広がるアペラシオンです。
白ワインと赤ワインの両方を産出しており、白ワインの畑は、ムルソー側の斜面、赤ワインの畑は、モンテリー側の斜面と別れて生産されています。
生産量は、赤ワインが70%、白ワインが30%であり、アペラシオン全体では、赤ワインの生産が多いです。
オーセイ・デュレスのぶどう畑は、東と南東に面し、十分な日照時間を確保できる好条件にあります。
標高 265~330m に広がるぶどう畑は、斜度が 40 度になる個所がある急勾配な斜面にあり、風による表土の浸食リスクが高い為、リールで仕立てることが INAO など当局により認められています。
産地の知名度が、ブルゴーニュの主要産地に比べるとやや劣るため、値頃感ある赤・白ワインが生産される隠れた名産地です。
ワインは柔らかくエレガント
赤ワインのうち、とりわけ、1er Cru (一級畑) の「レ・デュレス」 (Les Duresses)、「クロ・デュ・ヴァル」 (Clos du Val)、「ラ・シャペル」 (La Chapelle) の評価が高く、豊かで力強くも口当たりが良く、エレガントなワインとして知られています。
生産量のうち30%を占める白ワインの畑は、ムルソー村側にあり、ムルソー村と同じ丘の斜面上に広がっています。
やや緑色を帯びる黄金色は、明るく透明感があり、アーモンドやリンゴのようなアロマ、火打石のようなミネラルを伴い、柔らかい口当たりで、滑らかなテクスチャと長い余韻を持っています。
クリュニー修道会による発展
11 世紀になるとキリスト教のクリュニー修道会がぶどう畑を所有し、ワイン造りを発展させます。
クリュニー修道会は、穀物の粉挽きとブドウの圧搾を主な生業としており、そのうち、ワイン生産が現在へと受け継がれています。
AOCの認定は1937年であり、9区画の 1er Cru (一級畑) を擁し、ワインの品質は高水準なものの、知名度があまり高くないため、価格は落ち着いています。
なお、オーセイ・デュレス村の南には、6本の塔が目印の美しいロシュポ城があり、ブルゴーニュのワイン産地巡りにおける一つの名所になっています。
卓越した生産者一覧
・ルロワ (Leroy)
「ドメーヌ・ルロワは、信じられないくらい少量のワインしか造らない。しかしそのワインは、どのぶどう畑のものであれ、常にそこから生み出すことのできる最高の酒質を示す。」
「ラルーは、ブルゴーニュ・ワイン王国の頂点に君臨している。彼女はドメーヌ・アンド・メゾン・ルロワとドメーヌ・ドーヴネのオーナーであるだけでなく、DRC の大株主の 1 人である。」
・アンリ・ラトゥール (Henri Latour)
「ここは、15ha の畑のほとんどが、オーセイ・デュレスとサン・ロマンにある知名度の低いドメーヌである。しかしそのワインは、国内市場で先を争って買い求められる。ゆっくりと時間をかけてここのワインをテイスティングした人は、その良さがわかるだろう。」