サヴィニー・レ・ボーヌ (Savigny-les-Beaune)
お買い得、高品質なワインの産地
サヴィニー・レ・ボーヌのぶどう畑は、ロアン (Rhoin) 川が流れ出す谷間の両側の斜面とそこから広がる水はけに優れた扇状地に広がっています。
サヴィニー・レ・ボーヌのぶどう畑は、北向き斜面の丘陵南部、南向き斜面の丘陵北部、その間の扇状地に区分され、3つの特徴あるワインが生産されます。
丘陵南部の北向き斜面からは柔らかく繊細、丘陵北部の南向き斜面からは色濃く豊か、その間にある扇状地からは溌溂とした果実味が特徴のワインになります。
サヴィニー・レ・ボーヌは、22区画もの 1er Cru (1級畑) を擁する銘醸地です。
値段の割に品質が高いことで知られ、「私はサヴィニー・レ・ボーヌを『お買い得なワインを探している愛好家のパラダイス』と高く評価している。赤も白も。」 (ヒュー・ジョンソン氏) と評価されています。
サヴィニー・レ・ボーヌの生産比率は、赤ワインが85%、白ワインが15% で、赤ワインが主力の産地です。
赤ワインは、「タンニンが慎ましやかで肉付きが良く、円くボリューム感があり、繊細かつ上品で女性を思わせるしなやかさ」 (フランスAOCワイン辞典) があります。
白ワインは、生産量が少なく、見つけ出すのが難しいものの、「ミネラルのきわ立つサヴィニー・レ・ボーヌのワインは、垢抜けしない重々しさは少しもなく、また常に、驚くほどの長熟能力を示す。」 (ヒュー・ジョンソン氏) と評価されています。
優れたワインを生む一級畑
丘陵北部の南向き斜面には、サヴィニー・レ・ボーヌで最も名高い 1er Cru (一級畑)「レ・ヴェルジュレス」 (Les Vergelesses) があります。
とりわけ、その中にあるアルベール・モロー (Albert Morot) の単独所有畑 (モノポール)、「ラ・バタイエール」 (La Bataillere) が最上の区画とされています。
色濃く豊かなワインを生み出す「オー・ゲット」 (Aux Guettes)、「オー・クル」(Aux Clous)、繊細さとフィネスを備えたワインを生み出す「オー・セルパンティエール」(Aux Serpentieres)、「オー・グランヴァン」(Aux Gravains) も優れた区画として知られています。
中央に広がる扇状地では、優れた区画 (クリマ) として、「ル・ヴィラージュ」 (Le Village)、「オー・プティ・リアール」(Aux Petit Liards)、「グラン・リアール」(Aux Grands Liards) が挙げられ、柔らかくフルーティーで魅力的な果実味のワインが生産されます。
シトー派修道院による発展
中世に入ると、修道院が勢力を伸ばし、シトー派修道院、メジエール修道院、マルタ騎士団がぶどう畑を所有していました。
とりわけ、シトー派修道院はサヴィニー・レ・ボーヌのぶどう畑を大規模に開拓し、現在まで続くぶどう畑の基礎を築きました。
卓越した生産者一覧
・ルイ・シュニュ (Domaine Louis Chenu)
「ドメーヌの名前はほとんど知られていないが、姉妹が経営を受け継ぐまで、ドメーヌはワインを、果液または樽の状態で、ネゴシアンに売っていたのだから、当然だろう。ワインは濃い色ではないが、チャーミングで上品で、それでいて軽さに流れない十分な深みを備えている。またそれらは、とてもお買い得なワインである。」
・デュブレール (Domaine Dublere)
「『自分を楽しませてくれるワインを造る。市場はその後で探す。』よく言った!彼は何かに突き動かされているよに働き、それでいて目は細部にまで行き届いている。」
・シモン・ビーズ (Domaine Simon Bize)
「ここは、サヴィニー・レ・ボーヌがどのようなワインを生み出すことができるかを確かめることができる格好のドメーヌである。私はそのワインのどれでも、目隠しをして買うことができる。しかし、特に、ヴェルジュレスを推奨する。」
・ジャン・マルク・エ・ユーグ・パヴロ (Jean-Marc et Hugues Pavelot)
「ユーグは、オークとワインを実に上手に融合させており、タンニンは普通の村名呼称ワインのレベルを遥かに超え、非常にきめ細やかな、心地よいクッションを提供している。とはいえ、焦点は決してぼやけていない。」