コート・シャロネーズ (Cote Chalonnaise)
値頃感ある高品質なワインの産地
ぶどう畑は、北のシャニィ (Chagny) 郡から南のマコネ (Maconnais) の丘まで、長さ 25 km、幅 7 km の細長い区画の南東向き斜面にあります。
コート・シャロネーズの中心地は、ソーヌ・エ・ロワール (Saone-et-Loire) 県北部にある人口 45,000 人のシャロン・シュル・ソーヌ (Chalon-sur-Saone) 市であり、かつては、ワインの集積地・積出港として栄えました。
ソーヌ・エ・ロワール (Saone-et-Loire) 市は、ぶどう栽培者の守護神である聖ヴァンサン (Saint Vincent) を祭る「聖ヴァンサン聖堂」 (Cathedrale Saint-Vincent) が有名です。
コート・シャロネーズ地区にて村名格付けが認められている地区は、「ブーズロン」 (Bouzeron)、「リュリー」 (Rully)、「メルキュレ」 (Mercurey)、「ジヴリ」 (Givry)、「モンタニー」 (Montagny) があり、産出されるワインの品質と値頃感から人気があります。
このうち、「ブーズロン」 (Pouilly-Fuisse) 以外の 4 地区には、1er Cru (一級畑) が設定されています。
コート・シャロネーズ地区は、ブルゴーニュ地方の発泡性ワインである「クレマン・ド・ブルゴーニュ」 (Cremant de Bourgogne) の発祥の地としても有名です。
「クレマン・ド・ブルゴーニュ」 (Cremant de Bourgogne) は、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵による伝統方式 (Methode Traditionnel) にて造られる優れた品質の発泡性ワインで、「リュリー」 (Rully) 産のものが特に有名です。
フルーティーで軽やか、溌溂として力強く、若さに溢れ、爽やかさや生気が強調される品質の高い発泡性ワインです。
5 つの村名格付けと評価
「ブーズロン」 (Bouzeron)
「アリゴテ種から造られる白ワインの唯一の村名格付け産地として名高い。夏暑く冬寒いブーズロン (Bouzeron) 村で栽培されるアリゴテ種は、他の産地のものと比べて果皮が薄く、金色を帯びてくることから『ドレ』 (Dore) と呼ばれている。このぶどうからアルコール度と酸味のバランス良い白ワインが生まれる。」
「リュリー」 (Rully)
「シャルドネ種の白とピノ・ノワール種の赤を産出している。23 区画が 1er Cru (一級畑) に格付けされている。リュリー村は、『クレマン・ド・ブルゴーニュ』 (Cremant de Bourgogne) の産地として有名で、この村で造られるクレマン (Cremant) が最高という定評がある。白ワインは、酸が豊かで、いきいきとしてフルーティー、円く滑らかで余韻が長い。赤ワインは、数年の熟成により、優雅で細やかな深い味わいが得られる。隣のシャニィ村には、ホテルレストランの老舗で、ミシュラン 3 つ星の『ラムロワーズ』 (Lameloise) がある。」
「メルキュレ」 (Mercurey)
「シャルドネ種の白とピノ・ノワール種の赤を造っているが、赤の生産量は白の 6 倍である。32 区画からなる約 160 ha が 1er Cru (一級畑) に指定されている。最良の赤は、土壌の組成が同じようなので、『コート・ド・ボーヌ』 (Cote de Beaune) のワインに似ている。堅固で粗削りなところもあるが、なめらかなタンニンが豊かで、熟成と共に肉付きが増し、円くなる。また、熟成に耐える力がある。白は、ミネラル感があり、バランスがとれ、余韻が長く、此方も『コート・ド・ボーヌ』 (Cote de Beaune) のワインに似ている。」
「ジヴリ」 (Givry)
「白と赤の 2 タイプのワインを産出しているが、赤の生産量のほうが圧倒定期に多い。1er Cru (一級畑) は、23 区画ある。赤ワインは、骨格が引き締まっていて豊満、バランスよく、優雅で『ヴォルネイ』 (Volnay) と比肩される。白ワインは、生き生きとしていて繊細、長い余韻と長命を支えるまろやかさと酸が豊かである。」
「モンタニー」 (Montagny)
「生産しているのはシャルドネ種の白ワインのみで、生産区全体の 3 分の 2 にあたる 51 区画が 1er Cru (一級畑) に格付けされている。ワインは、若々しく溌溂として爽やか、気品とフィネスがあり、余韻が長く、熟成に耐える。」
1822年に、ブルゴーニュ初の発泡性ワイン「クレマン・ド・ブルゴーニュ」が造られ、現在も最高水準のクレマンが生産される!!
教会勢力の影響、クレマン発祥の地
中世になると、コート・シャロネーズのぶどう畑は、先ず「クリュニー派修道会」 (Cluny)、次いで「シトー派修道会」 (Cistercians) の修道僧によって開墾されました。
コート・シャロネーズの「ジヴリ」 (Givry) のワインは、中世の頃から評価が高く、アンリ 4 世 (Henri IV) が愛したワインの一つと言われています。
また、「モンタニー」 (Montagny) の白ワインは、この地の南、クリュニー (Cluny) の町に総本山を置いた「クリュニー派修道会」 (Cluny) の修道僧が他のどんなワインよりも好んだとして知られています。
コート・シャロネーズは、発泡性ワインの「クレマン・ド・ブルゴーニュ」(Clemant de Bougogne) 発祥の地として知られています。
1822年に、「リュリィ」 (Rully) と「メルキュレ」 (Mercurey) にぶどう畑を所有していたシャロン・シュル・ソーヌ (Chalon-sur-Saone) のネゴシアンたちは、自分のぶどう畑にシャンパーニュ地方の若者を招へいし、初めてブルゴーニュの発泡性ワインが生まれました。
その後、「クレマン・ド・ブルゴーニュ」 (Cremant de Bougogne) の醸造技術は進化し続け、1975年にAOCとして認定されました。
現在でも、コート・シャロネーズの「クレマン・ド・ブルゴーニュ」 (Cremant de Bougogne)は評価が高く、とりわけ、「リュリー」 (Rully) のクレマンが最高と評価されています。