ペサック・レオニャン (Pessac Leognan, Bordeaux) のワイン
赤・白ワインとも素晴らしいワインが生産され、特に、白ワインは、生産量こそ少ないものの、ボルドー最高水準と評価される!!
ボルドーで最も活気ある銘醸地
ペサック・レオニャンは、他のグラーヴ地区と差別化を図るため、アンドレ・リュルトン (Andre Lurton) 氏を中心とした尽力により、1987年に独自の新アペラシオンとして、グラーヴ北部にあるペサック村とレオニャン村の2村がそれ以外の村から離れ、政令でペサック・レオニャンが創設されました。
新アペラシオン獲得前のペサック・レオニャンは、ボルドー市における市街化の波が押し寄せ、ぶどう畑が減少していました。
しかしながら、新アペラシオン獲得後、ぶどう栽培面積は、総計 500 ha から赤ワイン用が1,385 ha、白ワイン用が 250 ha に拡大、シャトーの所有者交代と投資の相乗効果により、ワインの質が飛躍的に向上する好循環によって「現在ボルドーで最も活気に満ちた新アペラシオン」 (ヒュー・ジョンソン) と言われる銘醸地になりました。
ペサック・レオニャンを構成する 2 つの村は、どちらもボルドー市に接し、ワインの銘醸地として古くから最も良く知られた村です。
ペサック・レオニャンには、グラーヴ地区から唯一メドックの第 1 級格付けに選ばれたシャトー・オー・ブリオン (Chateau Haut-Brion) を筆頭に、グラーヴ地区にある 16 の格付けシャトー全てがあります。
赤・白ワインとも素晴らしいワインですが、とりわけペサック・レオニャンの白ワインは、生産量こそ少ないものの、ボルドーでは最高水準のもので、ブルゴーニュの上質白ワインに比肩すると言われています。
力強さとフィネスのバランスに優れた赤ワイン、ミネラルを十分に取り込んだ力強い白ワインが生産される!!
極上の赤・白ワインが生産される
ボルドーで最も古いぶどう栽培地域であるペサック・レオニャンについて、18世紀には、「法の精神」を著したモンテスキューは、ワイン・ビジネスに長け、シャトー・ラトゥール・マルティヤックとシャトー・オリヴィエの畑を所有していたことでも知られています。
ペサック・レオニャンは、砂利層の小高い丘と粘土層が帯になった土地にて、赤ワイン用のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが栽培され、石灰岩と粘土の混ざった層にて、白ワイン用のセミヨンとソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。
ペサック・レオニャンでは、これらの土壌から力強さとフィネスのバランスに優れた赤ワイン、地中のミネラルを十分に取り込んだ力強い白ワインが生産されています。
二つの傑出した生産者
ペサック・レオニャンを代表するシャトーは、メドック第1級格付けのシャトー・オー・ブリオンです。
シャトー・オー・ブリオンは、「長い間、テロワールの天の配剤、真摯な所有者、そして科学技術をうまく取り入れる知性に支えられ、常に先頭を走り続けている。」(ヒュー・ジョンソン)と評価され、何にもましてエレガントで比類なきタンニンの質とフィネスを備え、精妙で調和のとれたブーケのワインは世界中から称賛されています。
米国第 3 代大統領のトーマス・ジェファーソン (Thomas Jefferson) は、「このワインを味わってみてほしいという気持ちを打ち消すことができない。オー・ブリオンという名前のぶどう畑で、最上と呼ばれている 4 つのうちのひとつだ。」と称賛、贈呈や進言により、オー・ブリオンのワインは米国のホワイトハウスでも好んで飲まれ、ジョージ・ワシントン (George Washington)、ジェームズ・マディソン (James Madison)、ジェームズ・モンロー (James Monroe) が大統領だったときも愛飲されていました。
また、ラ・ミッション・オー・ブリオン (La Mission Haut-Brion) は、オー・ブリオンとは対照的に、力強く男性的なワインを生産し、その名声は、シャトー・オー・ブリオンに比肩します。
「オー・ブリオンの真髄が、エレガントさ、フィネス、滑らかな質感だとすると、ラ・ミッションは、力強さと凝縮感、そして果実の芳醇さと、男性的という印象を与えるタンニンの力強さを真髄とする。」 (ヒュー・ジョンソン) と称賛されています。
「かつては、シャトー・オー・ブリオンの一部であったラ・ミッション・オー・ブリオンは、ボルドー全域の最も偉大なワインのひとつを生み出している。このシャトーは、長年のライバル、オー・ブリオンと対峙しており、20 世紀のほぼ全期間にわたって、比べるもののない輝かしい記録を持つ。」 (R. パーカー) と極めて高く評価されています。
卓越した生産者一覧
・オー・ブリオン (Haut-Brion)
「シャトー・オー・ブリオンは、ボルドーで最も古いシャトーと言ってよいだろう。オー・ブリオンの真髄は、何にもましてエレガントさにあり、それは作柄のあまり良くない年でも明らかである。その一貫性は感動的であり、タンニンの質とフィネスは例外的と言える。若い時から官能的だが、長く熟成する能力もあり、それを支えているワインの深みと力強さは、しばしば人を惑わす。」
ラ・ミッション・オー・ブリオン (La Mission Haut-Brion)
「シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンは、アメリカ出身のディロン家が所有者となっている。同家は、シャトー・オー・ブリオンの所有者でもあり、ワイン造りにも同じメンバーが当たっている。関係の深いこの 2 つのシャトーが、それにも関わらず、スタイル的にかくも異質なワインを造っていることに人々が驚く。ラ・ミッションは、力強さと凝縮感、そして果実の豊饒さと男性的な印象を与えるタンニンの力強さを真髄とする。これは例外的な年に顕著に現れるが、ラ・ミッションの強みは、あまり作柄の良くない年でも安定していることである。」
オー・バイィ (Haut-Bailly)
「私は、このワインの一貫性と、新鮮さ、調和を確信することができた。オー・バイィは、それにふさわしいスタイルを堅持し、オーナーから愛飲者まで、すべての人がそのワインがそこにとどまっていることに幸せを感じている。」
マラルティック・ラグラヴィエール (Malartic Lagraviere)
「マラルティック・ラグラヴィエールは、ペサック・レオニャンの落ちこぼれから、今やアペラシオンを代表するスターに成長し、その価格は、メドックの第 4 級と匹敵する。ワインは、生命力に溢れ、味わいは長く、重量感があり、フィネスもある。そして、少なくとも 1998 年以降は、素晴らしい一貫性もある。」
パープ・クレマン (Pape Clement)
「パープ・クレマンは、自己主張の強い、官能的な現代的スタイルである。感触は滑らかで、芳醇。若い時は豊かで、熟れており、オークが強く感じられるが、熟成が進むにつれ、アロマが精妙さを増す。」
スミス・オー・ラフィット (Smith Haut Lafitte)
「ダニエルとフローレンス・カティアール夫妻がシャトー・スミス・オー・ラフィットを買ったのは 1990 年のことであったが、それ以来、このシャトーは、地所もワインの質も大きく変容し、見違えるほどになった。」
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ (Domaine de Chevalier)
「そのワインは、過剰に力強いということも、アロマが強すぎるということもなく、消化しやすさとフィネスがあり、顕著な土味とミネラルが感じられ、長く熟成する能力を持っている。」
カルボニュー (Carbonnieux)
「ここは、赤・白とも生産量の多さを誇る大規模なシャトーである。しかしその品質基準は高く、またその品質の一貫性と安定性は感動的である。また、価格も競争力があることから、カルボニューは、加熱することの多いボルドー市場において、面白い選択肢となっている。」
クーアン・リュルトン (Couhins-Lurton)
「100% ソーヴィニヨン・ブランから造られるクーアン・リュルトンの白は、顕著な、そして幾分驚愕させられるほどの長熟能力を示す。若い時は生き生きとして、ピッとした風味があり、柑橘系の香りが高く、それが徐々に口中を満たす。最高のヴィンテージは、優に 20 年は熟成し、例外的な白ワインとなる。」