マコネ (Maconnais)
美しい丘陵地帯、良質なワイン
マコネの中心地は、パリの南東 400 km にある、ソーヌ・エ・ロワール (Saone-et-Loire) 県の県庁所在地である人口 36,000 人のマコン (Macon) 市です。
マコン (Macon) 市は、「サン・ヴァンサン聖堂」 (Cathedrale Saint-Vincent)、「考古学博物館」 (Musee des Ursulines)、ソーヌ川 (La Saone) に架かる「サン・ローラン橋」 (Pont Saint-Laurent) など観光名所が多い街です。
また、19 世紀のロマン派の代表的詩人、ラマルティーヌ (Lamartine) の出身地であり、「ラマルティーヌ博物館」 (Musee des Larmartine) も有名です。
ぶどう畑は、ソーヌ (La Saone) 河畔のトゥルニュス (Tournus) 市の北からマコン (Macon) 市の南まで、全長 35 km の細長い丘陵地に広がっています。
生産されるワインは、白ワインが中心で「マコン」 (Macon) として知られています。
ワインの集積地であったマコン市を通して流通されていたことから、「マコンのワイン」として呼ばれていたことに由来します。
マコネ地区にて村名格付けが認められている主要な地区は、「プイィ・フュイッセ」 (Puilly-Fuisse)、「サン・ヴェラン」 (Saint-Veran)、「ヴィレ・クレッセ」 (Vire-Clesse) であり、産出されるワインの高い品質と値頃感から非常に人気があります。
また、生産量の少ない産地ながら「プイィ・ヴァンゼル」 (Pouilly-Vanzelles)、「プイィ・ロシェ」 (Pouilly-Loche) も村名格付けが認められています。
このうち「プイィ・フュイッセ」 (Pouilly-Fuisse) は、2020年ヴィンテージから 22 区画の 1er Cru (一級畑) が認められました。
マコネ地区で、村名格付け以外のワインは、下の格付けから、「マコン」 (Macon)、「マコン・ヴィラージュ」 (Macon-Villages)、「マコン+村名」 (Macon-村名) に分類されています。
生産者の違い、テロワールの多様性から、軽くフルーティなワインから複雑なものまで造られ、「そのためこの地で素晴らしい1本に巡り合うことはそう難しいことではない。」 (フランスワイン、テロワール・アトラス) と言われています。
2020 年収穫分から、プイィ・フュイッセに 1er Cru (一級畑) が設定される!!
優れた村名格付けワイン
5 地区の村名格付けの内、評価が高く、生産量の多い「プイィ・フュイッセ」 (Pouilly-Fuisse)、「サン・ヴェラン」 (Saint-Veran)、「ヴィレ・クレッセ」 (Vire-Clesse) は、以下のように評価されています。 (フランス、テロワール・アトラス、フランスAOCワイン辞典)
「プイィ・フュイッセ」 (Pouilly-Fuisse)
「フィネスと品位を備えた白ワインが生産され、豊かな風味に富んだおおらかなワインで、テロワールが多彩な味わいをもたらしている。調和がありエレガントで魅力に満ちている。長熟させることもできる。なかには、非常な評判を博しているワインもある。主な区画として、『レ・ヴィーニュ・ブランシュ』 (Les-Vignes-Blanches)、『シュル・ラ・ロッシュ』 (Sur-La-Roche)、『レ・プレシー』 (Les Plessys) などがある。」
「サン・ヴェラン」 (Saint-Veran)
「『サン・ヴェラン』と『プイィ・フュイッセ』は、地形と栽培醸造法、さらに芳香と風味において、共通点がみられる。辛口であるがまろやかで軽い。しばしば火打石のミネラルが豊かで、酸とふくよかさが互いに補完し合い、調和がとれ溌溂とし、しなやかな骨組みを持つ。」
「ヴィレ・クレッセ」 (Vire-Clesse)
「活発で溌溂とし、僅かに尖っているが、豊満である。しなやかでフィネスがあり、柔らかく率直な面がある。過敏でなくゆったりして、余韻が長い。アカシアやヘーゼルナッツ、菩提樹の花のアロマが特徴で、熟成によりミネラル分も感じるようになる。年により、遅摘みや貴腐菌 (Botrytis Cinerea) のついたぶどうから甘口ワインが造られる。」
これらの 3 つの主要な村名格付けに加え、「プイィ・ヴァンセル」 (Pouilly-Vinzelles)、「プイィ・ロッシュ」 (Pouilly-Loche) という村名格付けも存在します。
生産量が少なく、酒質はプイィ・フュイッセに良く似ているため、これら小さな村名格付けが存在するのは、「恐らく制定当時の生産協同組合の力関係からうまれてしまったに過ぎない。事実、産するワインの夫々の特徴という観点からアペラシオンの存在をはっきりさせることはできないだろう。」 (フランス、テロワール・アトラス) と言われています。
マコン・ヴィラージュのワインでは、「コント・ラフォン」 (Comtes Lafon) のロマン派詩人でマコン出身のラマルティーヌ (Lamartine) に由来する「マコン・ミリー・ラマルティーヌ」 (Macon Milly Lamartine)、白ワイン最高の造り手「ルフレーヴ」 (Leflaive) の手掛ける「マコン・ヴェルゼ」 (Macon Verze) などの人気があります。
近年、コート・ドールのトップ・ドメーヌが進出、優れたワインを生産し、注目を集める!!
修道院勢力、トップ生産者の進出
中世になると、キリスト教の修道院勢力が決定的な役割を果たすようになります。
多くの修道院を創設し、敬虔公 (Le Pieux) と言われたアキテーヌ公のギヨーム 1 世は、909 年に「クリュニー派修道院」 (Cluny) を設立、母体となった「ベネディクト派修道院」(Benedict) の戒律、「Ora et labora (祈り、働け)」にしたがい、修道士にマコネのぶどう畑を開墾させました。
マコネには、「クリュニー派修道院」が開墾した最古のぶどう畑の一つと言われるマコン・ヴィラージュ格付けの「クロ・ド・モンラッシェ」 (Clos de Mont-Rachet) という区画がぶどう畑のまま現存し、ワインは、「もう一つのモンラッシェ」と言われています。
近年、ブルゴーニュ・ワインの価格上昇によって、消費者が自分たちのワインを飲む機会が失われていると感じたコート・ドールのトップ生産者がマコネ地区に進出してきています。
「ルフレーヴ」 (Leflaive)、「コント・ラフォン」 (Comtes Lafon) などが、値頃感ある上質なワインを造る目的で、コート・ドールと同じ石灰質土壌のマコネ地区に進出し、ワイン造りを始め、注目を集めています。