オー・メドック (Haut-Medoc, Bordeaux) のワイン
南北 60 km に延びる広大な土地は、メドックの格付けシャトーのワインからお買い得ワインまで、幅広いワインを生み出す。
オー・メドックは、対象とする地域が広いため、多様なテロワールを持ち、多彩なワインが生み出されます。
造り手やぶどう畑の自然条件によって異なりますが、豊かで力強いワインながら、それでいて主張しすぎない、優れたワインが生み出される産地として知られています。
多彩な生産者と人気ワインの産地
オー・メドックは、値頃感ある良質なワインを生み出す「クリュ・ブルジョワ」 (Cru-Bourgeois) 格付けの生産者が圧倒的に多いものの、1855 年に定められたメドックの公式格付けで「クリュ・クラッセ」 (Cru Classe) に選定された生産者のうち、5 つのシャトーがオー・メドックにあり、多彩な生産者がシャトーを構えています。
また、村名 AOC のワインを造っている名門シャトーが、価格が求めやすく、しかも品質が高いワインを「オー・メドック」のアペラシオンから出していることがあります。
例えば、マルゴー (Margaux) にあるメドック第三級格付けのシャトー・ジスクール (Ch. Giscours) は、「オー・メドック・ジスクール」 (Haut-Medoc Giscours) というワインをオー・メドックのアペラシオンから生産しており、ワイン愛好家から極めて高い評価を受けている人気のワインとして知られています。
多彩なワインを生み出す土壌
オー・メドックは、南北 60 km の細長い地域であり、多彩なテロワールを持つ広大な土地は、何れもぶどう栽培に適しています。
マルゴーの南側に広がる平坦な土地においては、土壌は主に砂利と砂で構成され、自然できめの細かい、繊細なスタイルのワインが生み出されます。
オー・メドックのアペラシオンを北に向かうにつれ、土壌は重くなり、結晶質の砂利と粘土が増え、生産されるワインは、より頑強になってサン・テステフ (Saint-Estephe) のような壮健さを備える傾向があります。
更に、北へ向かうにつれ、石灰岩と粘土の混ざった土壌が優勢になり、メルローに適した土壌へと変化していきます。
オー・メドック全体では、カベルネ・ソーヴィニヨンが主要な品種となっています。
アペラシオン北部は、メルローの比率が上がり、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの比率が、夫々 50 % 程度に近づいていきます。
また、少量のカベルネ・フランとプティ・ヴェルドーが、味わいを補完する目的で植えられています。
卓越した生産者
・ラ・ラギューヌ (La Lagune)
「ラ・ギューヌは、フレイ時代の 2004 年ヴィンテージから本領を発揮し始めた。哲学は、調和とフィネスのあるワイン、恣意的に力と存在感を付与するのではなく、テロワールを自然に表現するワインを創造することである。これは実現されたように見える。また、果実の成熟度も一段と向上したようで、新しく植えたぶどう樹は、未来に向かって順調に伸びている。」
・ソシアンド・マレ (Sociando-Mallet)
「ジャン・ゴートローは、1969 年 4 月に、破産したシャトーをわずか 25 万フランス・フランで購入すると、それから 40 年で、最近のメドックで最も商業的に成功した例を築き上げた。成熟期を迎えた 85 ha のぶどう畑と、格付けシャトーに匹敵する実力を持つと言う評価を得て、ゴートローは、今、彼のクリュの独立独歩の地位を謳歌している。『格付けもクリュ・ブルジョワの肩書もいらない。ソシアド・マレは、ただ最大限の力を発揮するだけだ』と彼は豪語する。」