ポルトガルワイン (Portugal Wine) について
1990年代以降、最新の醸造技術や設備の導入により、ワインの品質が目覚しく向上、一躍注目の産地に!!
品質向上目覚ましい産地
ポートワインやマデイラワインは、スペインのシェリーと共に世界の三大酒精強化ワイン (Fortified Wine) に数えられ、厳格な基準に沿って栽培・醸造される歴史と伝統に裏打ちされた素晴らしいワインです。
これに加え、特筆すべきは、赤・白ワインといった通常のワインの品質が目覚ましく向上したことです。
ポルトガルのEU加盟(1986年)後、政府・EUは、産業振興としてワイン産業を強力に支援、栽培技術の向上と醸造設備の近代化を背景に、'90年代以降、ポルトガルワインの評価が著しく高まりました。
次々に革新的なワインが生産されている!!
伝統と最新技術の融合
EU加盟以降、伝統の技と最新の醸造技術を融合した新世代の造り手達が、次々と革新的なワインを生み出します。
'90年代以降の品質向上により、安くて美味しいワイン、やがて世界の銘醸ワインに比肩する洗練されたワインとして世界の注目を集める産地になりました。
ワイン大国、ポルトガル
ポルトガルは、国土9万km2 (日本の1/4) 、人口1,060万人 （日本の1/10) の小さな国です。
しかし、ワインにおけるポルトガルは、大国といっても過言ではありません。
ブドウ栽培面積26万ha （世界第8位） 、ワイン生産量750万hl （世界第9位、日本8万hl） とワインにおけるポルトガルの存在感は堂々たるものです。
また、国民は大のワイン好き、1人当りワイン消費量は年間48L (日本2.5Ｌ) 、ルクセンブルク、フランス、イタリアに次ぎ、世界第4位です。
ポルトガルワインの歴史
5世紀にローマ帝国が崩壊、ゲルマン人の大移動に伴い混乱の時代を迎えると、ワイン産業は衰退します。
更に、8世紀から11世紀まで、ポルトガルがイスラム勢力に支配されると、ワイン造りは、停滞・廃れました。
やがて、キリスト教徒がポルトガルを回復してから再びワイン造りが盛んになります。
17世紀にマデイラワイン、18世紀にポートワインが登場、1756年に世界初の原産地管理法をドウロ地方のポートワイン生産地域に導入、19世紀にはヴィーニョ・ヴェルデの生産が始まっていたとされ、深い歴史を伺えます。
ワインを巡る日本との関係
ワインはポルトガル語の赤ワイン (ティント) から珍陀 (ちんた) と呼ばれ、戦国武将も珍重したと言います。
例えば、ポルトガル人宣教師フランシスコ・ザビエルは、織田信長にワインを2樽献上したと記録に残っています。
最近では、昭和の文豪、壇一雄氏が自分の姓と同じダンワインを愛飲したことが有名です。
壇一雄氏は1970~72年にポルトガルのサンタ・クルスに滞在、「火宅の人」執筆中、「赤、白のダンワインを何百本抜いたことか」と記述、「美味放浪記」のポルトガル編は、「初鰹をサカナに飲む銘酒･Dao ダン」と題を付けるなど、ダンワインに特別な思い入れがありました。
ポルトガルのワイン生産者
ポルトガルのワイン産地
ポルトガルの産地一覧
ヴィーニョ・ヴェルデ (Vinho Verde) は、ポルトガル北部のブドウ栽培地区。
雨量比較的多く、夏涼しく冬暖か。緑深い森林が美しく「コスタ・ヴェルデ（緑の海岸）」と呼ばれます。
ヴィーニョ・ヴェルデとは「緑のワイン」の意味、酸に恵まれ、若々しく快活で爽やかな微炭酸のワインが生産されます。
ポート (Port) は、ドウロ渓谷に広がる世界初の原産地管理法によるポート・ワイン用ぶどうの生産指定地域。
ポート・ワイン用ぶどうの栽培地域には、「ガタストロ」という厳格な基準が適用されます。
夏冬・昼夜の気温差が大きく乾燥するため、完熟した良質なぶどうが生産されます。
ドウロ川流域の渓谷は、景観が素晴らしくユネスコの世界遺産に指定されています。
マデイラ (Madeira) は、リスボンの南西1,000km、大西洋上のマデイラ島で生産される酒精強化ワイン。
酸化・加熱熟成により生産されるマデイラは、世界三大酒精強化ワインに数えられ、独特な酸味と甘みを持っています。
既に酸化したワインなので、開栓によってもそれ以上酸化せず、長期に楽しめます。
ドウロ (Douro) は、ポルトガル北部の港町、ポート市からドウロ川を遡ったドウロ渓谷に広がるポルトガル屈指の銘醸地です。
ポート・ワインと同じ地域で生産されるスティル・ワインを指し、土着品種を用い、洗練された上質な赤・白ワインが生産されます。
秀逸年のみ生産される「バルカ・ヴェーリャ」というワインは、「伝説のワイン」として珍重され、「ポルトガルのペトリュス」との異名を持ちます。
ダン (Dao) は、ポルトガル中部の街、ヴィゼウを中心に広がるポルトガルを代表する銘醸地。
日夜・夏冬の寒暖差が大きく、乾燥した気候の過酷な気象条件で生み出されるダンのワインは、品質が総じて高く、ポルトガルでは、「迷ったらダン」と言われるほど、産地名だけで信頼して飲むことのできるワインと評価されています。
作家の壇一雄が愛飲したワインであり、随筆に「赤、白のダンワインを何百本抜いたことか」と記述されています。
バイラーダ (Bairrada) は、ポルトガル中央部、大西洋から20kmほど内陸に入ったポルトガルの美酒を生み出すポルトガルを代表する銘醸地です。
バイラーダ地方でのワイン造りの歴史は、隣接するダン地方と同様にとても長く、800年以上の歴史があります。
粘土質の土壌は石灰岩を含み、濃密でミネラル感のある良質なワインが生産されています。
ベイラス (Beiras) は、ポルトガルワインの心臓部、DOP ダン、DOP バイラーダを含む広域なワイン産地 (IGP) です。
日照時間が長く、日夜・季節ごとの寒暖差が大きいため、完熟した健全なぶどうが育ちます。
生産されるワインは、芳醇で力強く、気取らずに飲むことができるお値打ちワインです。
アレンテージョ (Alentejo) は、「ポルトガルの隠れた最大の宝」と呼ばれ、ポルトガル最高と評価されるワインが生産される注目の産地です。
ポルトガルで最も日照時間が長く、収穫期の雨が少ないなど、ぶどう栽培に最適な自然条件が揃い、良質なワインが安定して生産されています。
テージョ (Tejo) は、ポルトガルの首都リスボンの北、デージョ川沿いに広がる「ポルトガル最古のワイン産地」です。
少雨で日照時間が長い地域なため、ワインはまろやかさの中にもドライさ感じるスタイル、気取らない素直な味わいなワインが生産されます。
テラス・ド・サド (Terras do Sado) は、ポルトガルの首都リスボンの南、大西洋岸に広がるワイン産地です。
古来より良質なワインを生産する地域として知られ、モスカテル種を用いた白ワイン、「モスカテル・ド・セトゥーバル」や「幻のポルトガルワイン」と言われる「ペゴス・クラロス」が有名です。
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